大嶋聖一

ニューヨークの地下鉄といえば、かつては米国の大都市の荒廃を象徴する存在だった。 煤けた車体を窓まで覆う落書き。外側と同じくらい汚れた車内には、昼でも夜でも強盗が出没し、 走り出せば耳をつんざくばかりの騒音が襲ってくる。 しかし、1980年前後のどん底時代から約30 年たった今、地下鉄は見違えるようにきれいで安全になった。 車体には落書きが全く見られず、これまで利用を避けていた乗客も戻ってきている。